レポート用紙 30行の 30年。



若い日の春のある日、日曜日の昼下がり

人生が茫洋として 霞がかって見えないような気がして、
手元にあったレポート用紙に年号を書き出してみた。


左端、縦に30行書くと 西暦は30年後になった。




そのすぐ右に 自分の歳を書き出してみると

20行目を超えたあたりで 恐ろしくなってペンが止まった。



怖いもの見たさの 試みに
まだ おさない あどけない いとけない長女の歳も書いてみた

めくるめく成長の過程に 生命の進化を 
三葉虫から始祖鳥への 太陽の塔の内部進化樹を見る思いに 眩暈がした。



同い年の女房は書くまでもなく…

30行目、
午後のテーブルの向こうで 洗濯物をたたんでいる女は
老婆になっていた。



ときどき それを その日の感じ 
そして
その時の恐怖を思い出す。




ペンが止まった齢は  もう過ぎてしまった。