レポート用紙 30行の 30年。
若い日の春のある日、日曜日の昼下がり
人生が茫洋として 霞がかって見えないような気がして、
手元にあったレポート用紙に年号を書き出してみた。
左端、縦に30行書くと 西暦は30年後になった。
■
そのすぐ右に 自分の歳を書き出してみると
20行目を超えたあたりで 恐ろしくなってペンが止まった。
怖いもの見たさの 試みに
まだ おさない あどけない いとけない長女の歳も書いてみた
めくるめく成長の過程に 生命の進化を
同い年の女房は書くまでもなく…
30行目、
午後のテーブルの向こうで 洗濯物をたたんでいる女は
老婆になっていた。
■
ときどき それを その日の感じ
そして
その時の恐怖を思い出す。
ペンが止まった齢は もう過ぎてしまった。
■