「一握の砂」を音読する。

なぜか石川啄木が久しぶりに読みたくなりamazonで買う。
 
 
東海の小島の磯の白砂に
われ泣きぬれて
蟹とたはむる
 
頬につたふ
なみだのごはず
一握の砂を示しし人を忘れず
 
大海にむかひて一人
七八日
泣きなむとすと家を出でにき
 
いたく錆びしピストル出でぬ
砂山の
砂を指もて掘り当てしに
 
(中略)
 
わが泣くを少女等きかば
病犬の
月に吠ゆるに似たりといふらむ
 
何処やらむかすかに虫のなくごとき
こころ細さを
今日もおぼゆる
 
いと暗き
穴に心を吸はれゆくごとく思ひて
つかれて眠る                          …疲れるほどなにもしてないよね、きっと。
 
こころよく
我にはたらく仕事あれ
それを仕遂げてしなむと思ふ                …絶対、仕事してないよね!
 
こみ合へる電車の隅に
ちぢこまる
ゆふべゆふべの我のいとしさ
 
浅草の夜のにぎはひに
まぎれ入り
まぎれ出て来しさびしき心
 
愛犬の耳斬りてみぬ
あはれこれも
物に倦みたる心にかあらむ
 
鏡とり
能ふかぎりのさまざまの顔してみぬ
泣き飽きし時                          …泣きあきて百面相。仕事してないよね。
 
 
 
ダメやん、こいつ、、、
音読してみて思わず声に出てしまった。
 
一握の砂、5章のうちの第一章。題して「我を愛する歌」の初めの数ページである。
我を愛する!!素直というかダメというか、久しぶりに最初から読んだが、啄木はスゴイ!
 
 
 
・故郷のなまりなつかし停車場の人混みのなかにそを聞きに行く
・最果ての駅に下り立ち雪明り寂しき町に歩み入りにき
 
などは単体の歌として覚えているが、、歌集として初めから連発で読んでいくとスゴイ濃度である。
「一握の砂」は、甘く酸っぱくエゲつないカルピス原液イッキ飲みのような歌集である。
 
 
毎晩、からだに障らないていどに読んでいこう。