マーケティング  因果と縁起  目的と方針

部下からの企画書が上がってきた。  フレームは手慣れたものである。 動態フォームがない。
それでは動かない。

また、目的ー方針ー目標 と 戦略ー戦術ー戦闘教義 の区別がついていない。


従業員の仕事、経費の構成、売り上げの達成などなど、数字に出来るものもあれば、そうでないものもある。
目的と目標、戦術と戦略の質が違うのはそれが「評価」と「判断」、どちらの対象であるかという点だ。

例えばサッカーでゴールが決まれば1点である。ゴールとジャッジ=判断されれば、それは覆らない。
飽くまでゲットかロスかである。ワンゴールだけど見事だったから2点!…というふうにもならない。

それとは別に、そのサッカーの試合に誰を出すべきか?そのチョイスは一見判断に見えて実は「評価」であったりするのである。

これを野球でひっくり返したのがブラッド・ピット主演の「マネーゲーム」であった。
選手評価を、総合的にせずに、出塁率を中心にデータでラインナップして、二流のアスレチックスを連勝させていくGMの話であった。


商売は縁起である。 「縁」とはマーケットあるいはエネルギーの場といってもいい。
そこにきっかけ「起」を文字どおり起こして一つの運動、社会的生命ともいうべき店を生むのである。

そして生まれた店をう運営管理していくために必要なのは「縁起」ではなく「因果」である。
原因→結果、のリニアな要素還元主義が支配する世界である。


閉鎖系では「因果」
開放系では「縁起」


この二回ほどのミーティングで、部下が意識していないのに気付いた。

ブラッド・ピットの演ずるGMが出塁率で選手を決めて成功するのは野球の試合が閉鎖系だからである。
野球の勝敗は、得点だけで決まるリニアな世界である。
出塁して一周回れば1点獲得。リニアではなくラウンド(笑)だが、得点のすべては要素に還元される。

三振だけど1点!!ということはまずない。
同日の別のゲームに左右されることもない。
例えば甲子園の阪神巨人戦が、名古屋球場の中日横浜戦の成り行き次第で、得点が加算されることも減算されることもない完全閉鎖系である。

もっとも、ワーテルローも賤ヶ岳も閉鎖系だが、戦局は複数あるので、大阪ドームの試合の結果が甲子園に影響する程度の開放性は持っている。つまり完全開放も完全閉鎖もあくまでモデルではある。がしかし、企画書を書く時には、開放と閉鎖の両系、その違いは意識しなければならない。


開放系市場を対象とするマーケティングと、閉鎖系マネージメントを混同しているケースは多いらしい。



…さくらさん、長いですかねー     (笑)