にこにこと春に嫁いでゆきにけり



    にこにこと春に嫁いでゆきにけり        軍艦




 次女は  あたたかな春のうす曇りに  ともだちと一泊旅行にゆくように   嫁いでいった。




  その前の日、次女のほかはみんな出かけていて、すこしの時間 しゃべった。    いろいろと




 
「お前が、私って賢いの?」 と訊いてきたのが 15歳の頃でね。


    へー、おぼえてない。



勉強もびみょーだったし、10代だから 努力するべき課題もおおかろうし
あほうにヘンな自信を持たせても宜しくなかろうと 
「ふつー」 と応えたのは、、  悪かった。

「ふつー、、だからナンでもできるし、誰にも負けない。」 というと お前はヘンな顔をしてね
二度と、その話はしなかったから、、お前の、ポテンシャルの幾分かを損じたかもしれない。

申し訳なかったと思うから、言っておくよ。




    …その話、凄く分かります。    …すごくわかる。

    ふつうだから、ふつうに育ててもらったから、何でもできる。   なんでもできます。

    まけません。  だれにも。


    いまは わかります。          …ほんとに   ほんとに    わかる      。





わかったのか?  わからないけど 嫁ぐ前の日の親孝行で言ってくれたのか? 

それは分からないが。


ふつうで いられれば 幸せは その手のうちなのだということを

お父さんは、自分で自分自身で納得するのに ながらくかかったから

お前には、 ちゃんと   教えておいてあげます。   





たいした娘に そだてられなかったけど、  そだてられてよかった。
育てさせてもらって、ありがといと、思ってる。



   はなむけに   と思ってはなしたけど             はなむけに  なったかなー