お父さんということ③ 小技

長女が5歳位の時、
他に誰もいないのを見計らって一つだけ残っていたチョコレートをやりました。
 
隣の部屋には、目ざとく意地汚い次女がいます。
「しっ、静かに。一つしかないから、お前にだけ上げる。
一つしかない、これで終わり。だから、誰にも言ってはダメ。」
 
そう言ってチョコレートを渡した時の長女の顔の輝きは忘れられません。
 
別にチョコレートにも不自由させるような暮しはさせていませんでした(笑)
チョコレートがもらえたことではなく、私一人選ばれて、ひいきされた喜び。
私だけ特別扱いのよろこび。
 
 
家にお土産を買って帰る時
ケーキを人数分買った後、女房にだけ、小さくて高い焼き菓子をひとつつけて渡します。
「私だけのお菓子、あんたらにはやらん!」と
女房は三人も娘を産んだ母親がいもないくらいに喜びうます。
 
娘どもは「ずるいー」「なんでー」と大騒ぎですが、
実はお母さんだけ特別扱いというのは子供にとってもうれしいことです。
お母さんは特別であってほしいからです。
 
娘どもに、お父さんの本当の値打なんか分りません。
お母さんを特別に大切にする父、そして大切にされて喜ぶ母親の姿に
娘の自分もあのように大切にされたいという欲求が二重写しになります
(繰り返しますが、大切にされるとはモノを貰うとこです、ははは)
 
母を大切にする男(くどいですがプレゼントすることです、はは)
これが「父」の実態だろうと思っています。
 
娘どもが思う「実態」をみせなければ理解されません。
 
魚を釣りたければ、魚が泳いでいる水深まで、釣り糸を垂れなければならないように。