昔ばなし ⑦  号令 「命令」 訓令。 サイトーさん

倉山満氏の本よ読んでいて信長秀吉家康についてのクダりで「号令命令訓令」の違いの話があった。

組織の統治というか相手のフェイズに合わせてどう指示するか、、、の問題である。
一番難しいのは「命令」である。

「命令」は現場的に「あんた、現場分かってないよね!」と下からの反発を招きやすいフェイズである。
ラインとスタッフについてはトンズラ社長にも繰り返し教えたが、、うまくいかなかった。
一義的に…自発性をどうそだてるかにかかっている。。。とまで言うと話がトビすぎか?  (笑)


父母の昔ばなしから離れるが、かつてサイトーさんという同年代ながらはるか上の上司を見たことがある。
飲食の現場仕事をしていた頃で、中堅のあこがれサイトーさん!!という感じだった。
直接一緒にショップスタッフとしてお仕えしたことはない。
どうも、当時サイトーさんは、遊軍的に空いた時間に直営店指導を半ばボランティアでしていたらしい。
オレが辞めてすぐに、28歳で大阪を離れ、県をまたぐ広域別方面・統括部長として赴任されたと後で聞いた。


サイトーさんは、高校卒業と同時に実家の近所の店 (大手の直営チェーン店) に社員として就職。
三か月後に店長になって、年上の金髪アルバイトを率いて売り上げロケット上昇。そのまま幹部になったらしい。

1970年代後半の金髪は、、概ね社会不適合予備軍である。
2歳違えば貴族と奴隷状態の下町店舗である。
二十歳過ぎの金髪連中が、年下の 「にっこり眼鏡くん」 だったサイトーさんに圧倒・制圧されたのだ。

下町の、飲食ショップ営業である。
サイトーさんはジジババ顧客と年上ヤンキー部下の両方の心を綱んだのである。

「命令」がうまかった、、、というべきなんだろうなー
絶対的な力でニコニコとスタッフとお客様をグリップする兄ちゃんに誰もかなわなかったのである。 多分。


当時オレがビジネス街の直営大型店でトロトロしてると、遊びに来たサイトーさんが何度か指導して下さった。

「やー、軍艦くん、今日も頑張ってるねー、いいねー!!」
「ああ、ちゃんとやってるねー、ええやん!」
「あれ、コレ何?軍艦くん、これはだめでしょー!!、軍艦くん!これはあかんわーー!!」
「ここは、こうよー、ほら!ビシーッとね、ほら!良くなった、ほらな、やっぱりこうでしょー!!」
「お客様もこっちの方が気持ちいいでしょー!!」「いいよねー!ほら違うよねー!!」

…こんな感じで10分ほどしゃべって現場整理して、さわやかな笑顔と共にお帰りになるのだ。


仰ってることは、ほとんどオバちゃんである。

年上幹部連中が 「サイトーさん、怒っると怖いよー、、すごく」 と言うので 「えー、怖いんですか?」 と訊くと
「…笑ってくれへんねん。」 「ひー!死にますね。。。」 「…死ぬよ。」 と (笑) お互い顔を見合わせた。

命令の本質を示していると思う。


なんだか乗ってきたが、、酔ってるし、このへんにしとこう。

サイトーさんの話は部下にも時々している。
オレも、昔ばなしをするべき年になったのだと思うので。。。 


サイトーさんのコトが、部下にも語り継がれると嬉しいなー