戦友が集まってくる。 早川ポケット。

ミステリとサスペンスがどう違うか?

…などと読んで、なるほどーと感動していた若い頃

早川ポケットミステリも様々な作品があって

戦友ものとでもいうべきジャンルもあった。




もうウロ憶えだが、

かつての戦友が時を経て助け合う話に

なんとも言えない感情をおぼえた。



  のである。





久しぶりだな

久しぶりだ、ジョンソンの話はきいたか。

うまくないらしいな。

うん、うまくない。

このままでは、ダメだろう。




ナントカできないかと思って今日集まってもらった。

民間に出でたものも軍に残った者もいるが

みんなあの困難な作戦を戦い抜いた戦友だ。



そう、あれはキツかった。

ジョンソンの部隊の働きが転換点だった。



そうだ、ジョンソンのおかげで我が部隊も救われた。

ウチもそうだ。そして、そのおかげで、俺もまだ生きている。



ジョンソンはあらゆる困難を歎かず

敵を恐れず、

命を押しまず

部隊のために出来ることの全てをなした。


そしてミッションを成功に導いた。




今、我々は、ジョンソンの困難を知った

今度はわれわれが、彼のために同じことをするべきだと思うが、どうだろう。



もちろんだ、私もそう思う。

もちろんだ。



非常に困難だが

困難を歎かず

出来ることの全てをなそう。  

あのときのジョンソンのように。



我々はひとりではない。

戦友みんなに連絡を取ろう。

そして、今度は我々がジョンソンを救出に向かおう。




かくして、全米に散った元の部隊の戦友が

いまは、それぞれ別に、さまざまな人生を送っている

かつての戦友が


十数年を経て

秘密裡に 

そして、いそいそと



ジョンソンのために集まってくるのである。








デテイルはすべて忘れたが

そういう内容の数十ページの中編だった。

読み終えた

その日の夜は

なかなか寝つけなかった。





わが友好関係を思い

打ちひしがれるような感動に打たれた。






そういう人間関係っておれたちにあるかね?

…そういう環境下にないよ俺たち。 無理だろ。


と、嫌な顔をして黒田君が応えて、、、

ヤなこと訊いて悪かったなと思ったのを憶えている。





それから10年もして


二流の恋をして二流の友情になじんで

二流の夢を見て

暮らしていくのが浮世である



と書いているのを見て

苦笑いも出ない程に納得して





ジョンソンの話に感動と困惑を憶えた頃が

わが青春で

それは

遥かに去ってしまったことを知った。




それは、遥かに去って二度と戻らないが



そういう

たよりなく

幼く


そして尊い

一時期があったのだなと




己が後姿を見送る気がした





他に見送るべき後姿もあったのではないかと、想いながら。






ともあれ、未熟でたよりなかった

そういう自分を恥じたことを

そういう経験を憶えていることを



それがなきゃ、人生はあじけないよなと

…いまは 思う。



だから今ミジメでも

気にせず生きろと

言ってやるべき場面もあるかと思う。



話は飛ぶようだが

金なんかもって死ねないぜー  と聞くと不愉快だ。



目の前の後世のために残せ、あるいは、使えよ。





うー

今回の話も散らかったなー

読んで下さった皆さま  すいません。