送別会、いい言葉のことなど。


「365日の広告コピー」 という本があって
こないだ買って事務所において
夕方ひとりになってから
まいにち少しづつ読んでいる。


1頁にひとつ
1月1日からはじまるコピーは
ささやかな人生の機微にふれて

短い解説とともに3分、数ページも読めば
夕方の気分に「カチん」と切り替わる気がする。



いい言葉というものはあって

広告惹句にすぎないからこそ

広告コピーは侮りがたい力を持っている

こともある




少し紹介すると



■ 1/1    ふだんを変える

         それがいちばん

         人生を変える。




■ 1/2    夢は口に出すと強い。




■ 1/3   「残りもの」

         は嫌い。

        「最後のひとつ」

         は好き。




こんな感じではじまって



「スリー」と「む」でスリムの日は

■ 3/6    別腹などない

         ということを私の下腹が

         教えてくれました。




また本邦初の小学校開校日は


■ 5/21   じんせいは

        小学校で

        学んだことの

        復習だよ。






春である。


このあいだ

それぞれに就職して辞めていくアルバイト送別会に出た。



現場有志の飲み会だから平素は知らん顔だが

長らく基幹メンバーだった何人かもいたので顔を出した。



長い宴会で

最後の挨拶になると

泣き出す子もいて

見ているパートさんも泣いていたりと

いかにも春の景色である。



さめざめ泣いて延長して

やっと店を出ても

みんな去りがたく道端で話している



やって来たときは子供だったのに

すっかり綺麗になって

娘ざかりで巣立っていく

アルバイトが

お世話になりましたと
微笑むので


シフトは無理させたね
ありがとう

君がシフト入りしてるといつも安心したよ
君は綺麗に笑うから。(笑)


にさん言、労って、励まして

じゃあねと駅に向かった


いわゆる美人顔ではなかったが
ほっそら背が高く
大きな切れ長の目で
嬉しそうに綺麗に笑うこだった





夜風は柔らかく

もうコートもいらないくらいだ



春は別れと出会い

そして永遠の季節である。




社会に出ていく君たちが

たくさんのいい言葉に出会えるといいなあ

そして

いい言葉を憶えるといいなあ



などと思いながら


やさしく触れていく夜風のなか

駅の階段を上った。