佐川氏、4時間の証人喚問詳細。

【佐川氏証人喚問】答弁拒否56回、野党の怒号…4時間超、居眠り議員も 2 / 10



予算委員会の証人喚問で、河村建夫衆院予算委員長の説明を聞く佐川宣寿前国税庁長官=27日午後、国会・衆院第1委員室(斎藤良雄撮影)

 
 衆院参院合わせて4時間超、かたくなな姿勢は変わらなかった。学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐる文書改竄(かいざん)問題で、27日に国会で行われた佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官の証人喚問。改竄当時の財務省理財局長でキーマンと目される佐川氏だが、官邸や政治家の関与はきっぱり否定する一方、計56回に及んだ答弁拒否に議論の場はたびたび紛糾、野党議員の怒号が響いた。問題の真相はいまだ藪の中だ。


 午前9時半前、参院第1委員会室。国税庁長官辞任を表明した9日以降、初めて公の場に姿を現した佐川氏は、黒のスーツに紺のネクタイ姿で、終始硬い表情のまま証言席に腰掛けた。
 佐川氏は衆参いずれの予算委員会でも、改竄問題の結果責任を認めた。「責任はひとえに私にある」。深々と頭を下げて謝罪した。
 しかし、問題が発覚した昨年2月以降の国会答弁の根拠となった資料(文書)が、改竄の前か後のものかを問われると、「改竄の経緯に結びつくので」と答弁を拒否。野党席から「それは違う」と異論が上がるなど質疑は何度も中断した。
 質問が核心に触れるたびに証言を拒む佐川氏に「茶番じゃないか」とのやじが上がると、与党側は「証人喚問はこういうもんだ」。業を煮やした野党議員から、要件を満たさなければ「証言拒否罪」に問われかねないと指摘された佐川氏が、やや声を震わせて話す場面もあった。


 問題の核心に触れない一方、政治家らの関与や影響を明確に否定。「安倍総理からの指示はありませんでしたね」「総理夫人の指示もありませんでしたね」。矢継ぎ早に問いただした自民の丸川珠代議員に対し、佐川氏はいずれも「ございませんでした」と答えた。
 こうした「断言」に野党側は疑問を呈した。無所属の江田憲司議員は「なぜ一切関与がないと言い切れるのか」と追及。佐川氏は「官邸や大臣から指示があれば当然、私に報告があったはずだ」と主張した。
 野党側の質問に険しい表情で耳を傾けつつ、与党側の質問にはうなずきながら聞き入る光景も目立つ。
 改竄前の文書には安倍昭恵首相夫人の動向が書かれていたため、官僚側の“忖度(そんたく)”の有無も焦点に。佐川氏は「個々の内面の話なので適当なことを言うことはできない」としながら、報告で首相夫妻の話が出なかったことを強調した。


 今回の問題は、本をただせば、国有地の8億円超の値引きが適正だったかどうかにあった。立憲民主の逢坂誠二議員が、取引の経緯で「わびる部分はないか」と問うと、佐川氏は「個別いろいろ批判はあるだろうが、不動産鑑定士の判断」と妥当性を訴え、「貸し付けも売却も、今でも正しいと思っている」と述べた。
 長時間に及ぶ厳しい追及が続いたが、「官邸から証人喚問で『こういう答弁をしてくれ』と頼まれたか」「(むしろ)自分は被害者だと思わないのか」などの質問には、戸惑いを見せながらも表情を緩めて否定する姿もみられた。


 「国民が知りたい真相を解明できたと考えるか」。最後に維新の丸山穂高議員から聞かれた佐川氏は「どういう経緯なのか答えていないので、明らかになっていない」と自ら不十分さを認め、衆参での証人喚問は午後4時過ぎに終了した。

 同じようなやりとりが繰り返されたためか、午後の喚問では与党の質問時間に居眠りをする議員の姿も。喚問を終えた佐川氏は足早に議場を立ち去った。