北の歌謡曲


もう20年の昔、在日の友達に誘われて民団系の新年会に行った。

どういう 「ツテ」か来賓席で恐縮した。



式典が終わって

オードブルやビール瓶をもった

会場ホール係がせわしくお往来する中

乾杯の発声と拍手の後は ショウタイムである




色とりどりのチョゴリを翻し

音曲団が入場すると

おおおおおー と歓声が湧いて


隣でホストしてくれていた友達が

若い仲間に


「!! 誰がセッティングしたの?」

「すごいな、まんま北じゃない。」

「へー、よく見つけたね、スゴイね!!」

「わー、すごいすごいすごい!!」



と日頃もの静かな彼に似合わない興奮ぶりで

在日社会でもすでに半島風は過去のモノなのだなと分かった。





北の首領様の奥方が美人と評判のようで

試しに youtubeで

「李雪珠—歌谣连曲」

と検索してみると


… 昭和30年代のような40年代のような50年代のような

一度たりとも 聞いたことはないけど

ひびき懐かしい曲がずらりと上がってくる。





ひごろは意識もしないが

半島出身者との

意外なほどの距離の近さを感じる。



そういえば

最晩年の頃の三波春夫がラジオで


「(演歌の) 股旅物は満洲北部の民謡そのものです。

満洲国時代に日本の作曲家の知るところとなって

なぜか、戦後の映画を画した 股旅物音楽に使われたのですよ。」


と、言っていた。



本邦と、極東周辺諸国との関係について

自分は、ほとんど なにも知らないなあと


近頃の言説・報道に接して、思う。