「大丈夫っす!」 考

「大丈夫です」 となにかを断る言い方が出てきたのはいつごろだろう。

二さん年前、ドラッグストアでアルバイトをしていた娘が、お客様との会話で
「いりません。」 「結構です。」 と断られるより 「大丈夫です。」 と言われた方が嬉しい。
「拒否」 の言葉より 「それはなくても私は大丈夫。」 と断ってほしい。 と言っていた。

「大丈夫」 違和感のある流行り言葉だが、流行り言葉は、「流行り」 である以上その時代の感覚を代表している。

1960年の終わりのころ 「カッコイイ」 が流行った。
「なんでもかんでもカッコイイですませるのは、国語の乱れ。」 と識者が嘆いていたのを子供心に覚えている。

たしか 「となりの車が小さくみえます」 もその頃で
しばらくすると「モーレツからビューティフルへ」 というコマーシャルが流れた。


「消費」 が必要を満たすものから、社交のための消費へと移行しつつうあった時代である。

なぜそれを買うのか? お客様をなっとくさせるために 「カッコイイ」 から、「ビューティフル」 だから
という理由が必要だったのである。 多分。
具体的には 「カッコイイ」 は新しいデザインや新しい素材のことだったように思う。

社会的優位を獲得するための行動、、が時代の気分だったのだろう。 高度成長期の終わりころのことだ。



そうかんがえると、「大丈夫」 もいまの時代の、他人との距離の取り方を端的に表す言葉である。
若い人たちが 「大丈夫です。」 の言葉で自分を守っている、、そういう自我というか社会性を持っているのだと考えて付きあっていこう。

「大丈夫です。」 自分が 「OK」 であることを示すだけのこの言葉は貧しい。

相手へのメッセージがない。  と思うが、オレが、その語感になじんでないだけかもなー  (笑)
社会はわれわれ老人(笑)のものだが、時代は若い世代のものである。 彼らの感じる 「世界観」 を想う。